康煕字典体もどき:追記

「?」と「醗」よりもさらに有名な問題に文藝家がよく取り沙汰してゐた「?」と「掴」がある。鐸木能光さんの「鐸」をめぐる旅(5)によると、それが、ワープロが登場し、当初の十六ドットフォント印字では解像度が足りなくて、手偏に國という正字の「掴」が印刷できず、苦肉の策で、それまでは使われていなかった「掴」という字を作り出すことになった。それをいいことに、八三年のJISコード改定で、漢字制限論の学者が勝手に「掴」をJISコードに取り入れ、正字を追放してしまった……。とのこと。前述の字も、これと同じやうな事情があったのかも知れない。

文字コードの問題を知らない方は、「鐸」をめぐる旅(1)からの一連は參考になると思ひます。