鼻濁音

東京方言(及び東北方言)には傳統的にガ行に普通の濁音(ガギグゲゴ)と鼻濁音(カ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜)がある。らしい。自分にはまったく辨別できない。鼻濁音には法則があって、慥かに一部法則通りに發音してゐるものはあったが、自分ではまるで意識してゐないし、他人の濁音を區別することなどとても出來ない。

鼻濁音と非鼻濁音を使ひわけ、聽きとれる人はアナウンサーがきちんと使ひ分けてゐないとはっきり違和感を感じ、不快ですらあるらしい。日本人が[ti]と[chi]、[si]と[shi]、[di]と[zi]と[de]を聽きとれなかったやうに、今でも[l]と[r]を正確に聽きわけ發音できる人が少ないやうに、日常に區別して使はない音韻は發音できないってことでせうか。

北海道辯――といふか道央札幌圈のことばは東京圈に次いで標準語に近いと言はれてゐる*1けど、鼻濁音を區別しない、ないし意識しないといふ點で違ひがある。

もっとも最近は、江戸っ子でも鼻濁音を發音できない人は多いらしい。

*1:北海道の岩見沢市にウィルコムのコールセンターがあるのはこの理由。