講談社BOXを陳列する覺書

學校の圖書室で講談社BOX西尾維新化物語』上下卷を仕入れた。圖書室はいまのところ、利用者の要望のあった本から購入するスタンスを採ってゐるので、化物語はかなりスムーズに買はれた。

ところで問題になるのが、どうやって陳列するかといふこと。通常の形態の書籍ならばソフトカヴァーだらうとハードカヴァーだらうとラミネートフィルムを貼って竝べれば濟むのだけれど、講談社BOXは箱入りなのでさうは行かない。



講談社BOXは先月に發刊されたばかりの新レーベルなので手に取ったことのない方も多いでせうが、書店では銀色の箱に容れて竝べられ、中には單色の、カヴァーが掛ってゐない本が收められてゐる。判型はB6判。箱には表紙・背表紙・裏表紙に當る部位に跨って一枚のラベルが斜めに貼られてゐる。平積みなど表紙が見えるやうに陳列されると、統一感もあり目立つ、良いデザインである。

しかし、良いデザインであるがゆゑに、その裝訂は、値段に跳返る。化物語はそれなりの文量はあるものの、上卷が1,700圓、下卷で1,600圓となっている。ソフトカヴァーである從來レーベルの講談社ノベルスであれば、500圓以上は安く上がる。

化物語のリクエストがあるからには當然、西尾維新が年明けの一月から十二箇月連續刊行する大河ノベル刀語 カタナガタリ』のリクエストもあって、わが校の司書教員は購入を前向きに檢討してゐる。こちらは月におよそ原稿用紙300枚ほどの文量で、一册1,000圓ほどになると見られてゐる。……はっきり言ってこれは痛い。同程度の文量で、文庫判のレーベルならば500圓ほどで買へてしまふ。限りある圖書豫算*1から年に12,000圓を費やすと、ほかの書籍の購入が制限されてしまふことになる。

話に戻すと、講談社BOXは箱入りなので、陳列及び貸出にはいくつか考へなければならない問題がある。

一つに、「箱の扱ひ」。講談社BOXにおいて箱はハードカヴァーに相當するものだが、本と別體になってゐるといふことがネックになる。開架に置いておく分には大して問題にならないが(それでも懸念はある)、箱ごと貸し出して潰されてしまったり箱を紛失する危險がある。

二つに、背表紙をどうするか。上に書いたとほり中身はカヴァーが掛ってゐない單色の本が入ってゐるのだけれど、背表紙には何も書かれてゐない。つまり、「豫め箱を外して陳列貸出」といふ案を採ると、そのままの状態では陳列できない。對策としては箱の背表紙に當る部位をカラーコピーで複寫して貼附ける、といふのが考へられるが、竝べて棚に容れたときに見ため安っぽく見えてしまふ難點があるとても美麗に仕上がりました

まだ詰めて話し合ってはゐないのだけど、きのふの時點では「箱を外して陳列し、中身のみで貸出す。背表紙はカラーコピーを貼附ける」といふ案がだされた。自分のまだ出してゐない案では「箱に容れて陳列し、貸出の際にカウンターで箱を回收する」といふのを考へてゐる。自分の案は見た目としても保て、箱も保全できるが、カウンターに立つ者に周知出來てゐないと、誤って箱ごと貸出されてしまふ危險もある。

以上、覺書。――誰にも續かない*2

*1:ちなみに、道立高校の圖書購入豫算は學校ではなく北海道持ち。

*2:『誰にも続かない』西尾維新の作品。單行本未收録。