妄想の地にて(2)

網走2日め。けふは菊地慶一といふ人に付いて、オホーツクの文學及びモヨロ貝塚について學んできました。網走といへば言はずもがな、流氷の町、さらに監獄の町でもあります。この町を題材にした文學といふのもいろいろあり、やはり監獄(刑務所)を題材にしたものが多いやうです。ところで網走にはモヨロ貝塚といふ重要な史蹟があり、モヨロ人(オホーツク文化人)といふ、現存するどの民族とも違ふ人々が住んでいたさうなのです。珍しい話としてはロシアからの防衞のために海軍が貝塚の邊りにトーチカを築いた際に、貝塚の發見者である米村喜男衞といふ人が猛反對したさうで、結果として貝塚は掘りかへされてしまったのですが、撤收の際にはこれを申し譯なく思ひ『最寄人供養碑』を設置して歸ったといひます。海軍がこんな殊勝なことをしたのは他に例がないと菊地氏は仰ってゐました。